むかし、いぬが二ひきいました。その二ひきはたいそうなかよしで、けんかをしたことがありません。たれみみのいぬは、チャイチャという名でした。たてみみのいぬはチャチャという名でした。二ひきのゆめは、くもにのってたびをすることです。
ある日、チャチャがいいました。
「ほんとうにくもにのって、たびができたらいいね」というと、チャイチャも
「くもにのったら、いえのまどから見えるけしきじゃないのかな」といいました。
二ひきはいつも、こころのなかでもそうおもっていました。
それが11かいつづいたあくる日のことです。あさなのに、ながれぼしがながれてきて、二ひきのいえにむかっておちてきました。でも、チャチャとチャイチャときたら、いつも8じまでねているので、きづきませんでした。
やがてそのながれぼしは、二ひきがのれるくらいのおおきさのくもになりました。
二ひきがめをさますと、くもがあるのにきづきました。ねがいがかなったことにきがつくと、うれしそうにくもにのりました。まんなかにほしがついているくもです。
10分まって、やっとくもはそらにうかびあがりました。それはゆめかな、と二ひきはおもいました。けれどももうめがさめているので、ゆめではないとわかりました。その二ひきはやっとくものそらのたびができたのです。
まわりにはひとがほとんどいないので、もちろんしーんとしていますが、二ひきはどうやっておりれるのかをしんぱいしていませんでした。でも、それはどうしたかはさいごにはなしますよ。
二ひきはどんなおもいでができるのでしょう?さて、それはおたのしみ。さわぎになるでしょうか、さわぎにならないでしょうか。
そらのうえもきけんがあるかもしれません。二ひきはこれからどうするのでしょうか?さて、それもおたのしみにしてください。そして、ついにそらのくものたびがはじまります。二ひきはしっぽをふりふりさせながら、くものわたあめをたべています。
みなさんは、どんなたびになるとおもいますか?
わたしもそれはわかりません。そのころ、こんなはなしがありました。
「ねえ、チャチャ。これからどうなるとおもう?」
「やーだいじょうぶだよ、チャイチャ」
「もしぼくたちおっこちたらどうする、チャチャ?」
「うーんわからない」
そのころ、まちで一人の少女がいぬごやをみつけました。それはチャチャとチャイチャのいぬごやでした。少女は、おまけにくもにいぬが二ひきのっているのをみつけました。二ひきには、それはさすがにわかりませんでした。
でもだいじょうぶでした。
二ひきのはなしはつづきます。
「ねぇねぇちょっとーチャーイーチャー」
「えっどうしたのチャチャ」
「あたりを見まわしてよチャイチャ。ここすごいたかいじゃん。もうすぐうちゅうにいっちゃう」
「チャチャおきて、ゆめでしょ、もう」
「たかくないんだから。ほら、くもがちいさくなってるよ」
「もうすぐおりるんだ」
「あ、ほんとうだ。ありがとチャイチャ」
「えっへん」
「ってチャイチャ、もう木のうえにとまっちゃったよー」
「えーじょうくでしょ。ってほんとだー」
「あ、だいじょうぶおりれた、おりれた」
そんなはなしをしていました。
でももうすぐこのえほんをよんでいるかたもおわかれですね。
そうしてさいごはくもとのおわかれです。